睡眠薬ランキング/デエビゴ、クービビック、ベンゾ系睡眠薬など

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台本

はじめに

皆さん、こんにちは。今回は、2023年に発表されたある研究論文を参考にして、睡眠薬のランキングを紹介します。どの睡眠薬が優れているのかを示したいと思います。

その前に前半では、従来から使われているベンゾジアゼピン系睡眠薬の欠点について述べます。また、最近出てきたオレキシン受容体拮抗薬という睡眠薬の長所についても述べます。

後半の睡眠薬ランキングでは、寝つき、中途覚醒、総睡眠時間、副作用の4つの項目について順位を見てもらいたいと思います。

ベンゾジアゼピンのシェア

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬は、昔はよく使われていました。ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は減ってきているとは言え、まだ使っている人もいるようです。

ちなみに、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と作用メカニズムが似た薬です。どちらもGABAの働きを強めます。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、Z薬と呼ばれ、マイスリー、アモバン、ルネスタなどがあります。

最近の調査では、睡眠薬のシェアはこの円グラフのようになっています。

オレキシン受容体拮抗薬のデエビゴが、45.2%と一番多いです。けれど、Z薬であるマイスリーやルネスタなども、合わせて25%近く使われています。

ベンゾジアゼピンの欠点

最初に言っておきますが、ベンゾジアゼピンを全く使わない方が良いというわけでもないようです。けれど海外では、何十年も前からベンゾジアゼピンの危険性が言われていました。

非ベンゾジアゼピン系の薬にしても、ベンゾジアゼピン系の薬よりは改善されているものの、リスクはある程度あります。

常用量であっても、長期使用で効きにくくなったり、依存が生じます。やめようとしても、離脱症状が起こったり、不眠が服用前よりさらに悪化することもあります。

認知機能の低下や運動機能の低下の副作用があり、特に高齢者には、使用を避けるように言われています。

ベンゾジアゼピン系の薬やZ薬は、確定してはいないですが、認知症リスクがある可能性があります。

一方、オレキシン受容体拮抗薬は、むしろ認知症を防ぐ可能性があります。その事について書かれている論文もあります。リンクを貼っておきます。

Orexin Receptor Antagonists for the Prevention and Treatment of Alzheimer's Disease and Associated Sleep Disorders - PubMed
Orexins/hypocretins are neuropeptides produced by the hypothalamic neurons, binding two G-protein coupled receptors (ore...

オレキシン拮抗薬の長所

オレキシン受容体拮抗薬には、以下のような長所があると言われています。

  • 耐性や依存の形成がない。
  • 記憶障害、認知機能障害がない。
  • 離脱症状がない。
  • リバウンドで不眠が悪化しない。
  • 朝の不活発状態がない。つまり、持ち越し効果がない。
  • 日中の活動性が増す。

オレキシン受容体拮抗薬は、ベンゾジアゼピン系の薬やZ薬とかなり違います。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬やZ薬は、GABAという脳の働きを抑える神経伝達物質の、働きを強めます。そのようにして脳を鎮静させ、睡眠を促します。

つまり、睡眠回路のスイッチをオンにします。

一方、オレキシン拮抗薬は、脳の覚醒を維持するオレキシンの働きをブロックします。そのようにして、脳の興奮を抑え、覚醒を止める形で睡眠を促します。

つまり、覚醒回路のスイッチをオフにします。

この違いは微妙ですが、人の脳画像研究からの最新のエビデンスでは、不眠症の人は睡眠回路のスイッチをオンにすることができないというより、むしろ覚醒回路のスイッチをオフにすることができないことで不眠になっていることが示されています。

睡眠を促すためには、GABAの働きを強めるより、オレキシン受容体をブロックした方が、直接的で自然なのだと思います。それによって、いろいろな余計な副作用が回避されています。

寝つき改善ランキング

以下では、15種程度の睡眠薬の、有効性や副作用のランキングを見ていきます。参考にした論文へのリンクを貼っておきます。

Efficacy and tolerability of pharmacological treatments for insomnia in adults: A systematic review and network meta-analysis - PubMed
Insomnia is one of the most common and burdensome disorders in adults. We compared and ranked insomnia medication on the...

まず、寝つき改善のランキングは、この表のようになっています。以後、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とZ薬をまとめてGABA系睡眠薬と呼びます。

1位クービビック7位スルモンチール13位ドキセピン
2位ザレプロン8位ロゼレム14位アモバン
3位レストリル9位エバミール15位トラゾドン
4位デエビゴ10位ベルソムラ
5位マイスリー11位ジフェンヒドラミン
6位ハルシオン12位ルネスタ
(赤)オレキシン拮抗薬 (青)GABA系の睡眠薬 (緑)メラトニン作動薬 (黒)その他

一番寝つきを改善するのは、オレキシン拮抗薬のクービビックです。クービビックは、服用してから最も血中濃度が高くなるピークが1~2時間後と早く来るので、寝つきは大変良くなります。

デエビゴやGABA系睡眠薬よりも、寝つきの改善の点では優れているかもしれません。ですが、個人差があることも言っておきます。

中途覚醒改善ランキング

次に、中途覚醒の改善ランキングを見ていきます。この表のようになっています。

1位デエビゴ7位トラゾドン13位ザレプロン
2位クービビック8位ルネスタ
3位チアガビン9位ベルソムラ
4位マイスリー10位アモバン
5位レストリル11位タシメルテオン
6位ドキセピン12位ラメルテオン
(赤)オレキシン拮抗薬 (青)GABA系の睡眠薬 (緑)メラトニン作動薬 (黒)その他

クービビックは、半減期が8時間となっていて、比較的短いです。そのため、半減期が31時間と長いデエビゴより、中途覚醒改善効果は弱いようです。

けれど、デエビゴに次いで2番目に中途覚醒を防止する効果があるようです。

クービビックは半減期がやや短い。つまり、すぐに薬の効果が切れるので、翌日への持ち越し効果が少なく、朝の不活発状態がより少ないと言われています。

他のオレキシン拮抗薬であるベルソムラについては、寝つきの改善にしても、中途覚醒の改善にしても、統計的には平凡な感じです。

ですが、中にはよく効く人もいるかもしれません。個人差があります。

総睡眠時間増加ランキング

次に、総睡眠時間の増加ランキングを見ていきます。この表のようになっています。総睡眠時間には、寝つきと中途覚醒の両方が関わってきます。

1位デエビゴ7位チアガビン13位アモバン
2位ザレプロン8位ドキセピン14位タシメルテオン
3位レストリル9位ベルソムラ
4位マイスリー10位ラメルテオン
5位クービビック11位ルネスタ
6位セルトレキサント12位ロゼレム
(赤)オレキシン拮抗薬 (青)GABA系の睡眠薬 (緑)メラトニン作動薬 (黒)その他

1位はやはりデエビゴです。クービビックは、いくつかのGABA系の睡眠薬より下位になっています。ですが、5位でまあまあ高いです。

GABA系の睡眠薬でもランキングが低いものもあるようです。メラトニン作動薬は、概して順位が低いです。ここでもベルソムラは平凡です。

有効性まとめ

以上のランキングには、長期の有効性が一応は加味されているそうですが、どの程度かは分かりません。3年4年とかなり長いデータは、計算に入れられにくいかもしれません。

かなり長い期間の有効性を考えた場合、もしかしたら、GABA系の睡眠薬はランキングが全体的に落ちて、オレキシン拮抗薬が逆に上がるということもあるかもしれません。

いずれにしても、デエビゴはかなり優秀で、クービビックもまあまあ良いと思います。

今後、GABA系の睡眠薬はどんどんシェアを落としていって、オレキシン拮抗薬が大半を占めるようになると思います。

副作用ランキング

最後に、副作用が軽い睡眠薬のランキングを見ていきます。この表のようになっています。

1位エバミール7位スルモンチール13位ベルソムラ
2位セルトレキサント8位レストリル14位ルネスタ
3位タシメルテオン9位クービビック15位レンドルミン
4位デエビゴ10位ドキセピン16位ザレプロン
5位ロゼレム11位マイスリー17位ハルシオン
6位ラメルテオン12位アモバン
(赤)オレキシン拮抗薬 (青)GABA系の睡眠薬 (緑)メラトニン作動薬 (黒)その他

睡眠薬の副作用には、翌日への持ち越し、ふらつき、認知機能への影響などがあります。

GABA系の睡眠薬には、特に、健忘や異常行動などがあります。オレキシン拮抗薬には、特に、悪夢や金縛りなどがあります。メラトニン受容体作動薬には、特に、頭痛、めまい、倦怠感などがあります。

副作用が特に軽いのは、メラトニン作動薬だと言われています。オレキシン拮抗薬は、概してGABA系の睡眠薬より副作用が軽いです。

意外にもクービビックよりデエビゴの方が副作用が軽いようです。

終わりに

個人的には、オレキシン受容体拮抗薬の登場は画期的なものだと思っています。GABA系の睡眠薬からのかなりの進歩だと思います。

認知症リスクがないばかりでなく、むしろ認知症を防ぐ可能性があるというのは素晴らしいと思います。

ですが、デエビゴやクービビックが合わない人もいるかもしれません。

今後、オレキシン拮抗薬を超える他の作用メカニズムの睡眠薬が出る予定はないそうです。

ですが、オレキシン拮抗薬を改良し、効果を高め、副作用を軽減した薬なら可能性はあるかもしれません。今後の研究開発に期待したいです。

開発中のオレキシン受容体拮抗薬、セルトレキサントの記事へのリンクはこちらです。
【副作用が軽い】セルトレキサント(オレキシン受容体拮抗薬)【睡眠薬】(2024.2.28修正)

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