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台本
はじめに
皆さん、こんにちは。今回は、今後何年かで発売される可能性のある抗精神病薬のうち、ムスカリン作動薬と呼ばれる薬についてお伝えします。
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ムスカリン作動薬には、コベンフィ、エムラクリジン、NBI-1117568などがあります。これらの薬は、現在一般的に良く使われている非定型抗精神病薬と、作用のメカニズムが大きく違います。
非定型抗精神病薬は、基本的にはドーパミン遮断薬です。脳内のドーパミン系の活動を直接的に抑制します。
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一方、ムスカリン作動薬は、アセチルコリン系の活動を活性化させます。そのようにしてドーパミン系の活動を間接的に抑制します。
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ドーパミン系の活動を直接に遮断しない作用メカニズムは、いろいろな問題を解決できます。
非定型抗精神病薬の問題点として次のようなものがあります。
陰性症状や認知機能障害への効果が十分ではない。体重増加がある。錐体外路症状がある。20~30%の患者に対しては陽性症状への効果が十分でない。
ムスカリン作動薬は、これらの問題点をかなり解決する可能性があります。
何十年か前に非定型抗精神病薬が日本に導入されて、精神医療をかなり変えたと言われていますが、来年コベンフィが日本へ導入されたら、同じ位精神医療を変えるかもしれません。
コベンフィ
では、ムスカリン作動薬のうち、2026年日本発売が予測されているコベンフィについて話します。コベンフィの素晴らしさについては、他の動画で述べているので、それを見てください。
最新の情報では、コベンフィを既存薬の補助薬として使用するフェーズ3試験が日本でも始まっています。
他にも、長期投与試験やアルツハイマー病に伴う精神病への適応に向けてのフェーズ3試験も始まりそうです。
フェーズ3試験と長期投与試験が成功すれば、製造販売のための承認申請が行われると思われます。
そうすれば、補助薬としては2026年中に発売される事も可能なのではないでしょうか。
コベンフィを単剤で使う試験は、まだ始まっていないと思います。単剤での試験がいつ始まるかはよくわかりません。
エムラクリジン
次に、ムスカリン作動薬のエムラクリジンについて話します。エムラクリジンは、コベンフィと作用のメカニズムが若干違いますが、コベンフィと同じく、非定型抗精神病薬の持つ問題を解決できます。
しかも、コベンフィが持つ消化器系の副作用があまりありません。副作用のせいでコベンフィが服薬できない人は、エムラクリジンが選択できます。
けれど、エムラクリジンは、米国でのフェーズ2試験で有効性を示せませんでした。開発は遅れています。
現在、フェーズ2試験をやり直す事が計画されています。
そのフェーズ2試験では、エムラクリジンの高用量の投与が試されるそうです。また、治験を行う施設をよく検討する事によって、プラセボ反応を抑えるようにして行われると思います。
結果は2026年の早期にわかります。
また、エムラクリジンは、既存薬の補助薬としての使用も追及されるらしいです。
日本での発売は、おそらく2030年代前半位になってしまうと思います。
NBI-1117568
次に、同じくムスカリン作動薬であるNBI-1117568について話します。NBI-1117568も、非定型抗精神病薬が持つ問題が解決されている優れた薬です。
開発に関わっているネクセラ社によると、NBI-1117568は、他のムスカリン作動薬と比べて有効性や副作用の面で優位性があると言われています。
有効性の面では、少なくとも既存の非定型抗精神病薬よりかは優れている可能性があると思います。
けれど、コベンフィより有効性が高いはわかりません。コベンフィは、かなり有効性が高い可能性があります。
NBI-1117568は、副作用の面では、コベンフィが持つ消化器系の副作用は少ないです。
ですが、フェーズ2試験では、眠気の副作用が他のムスカリン作動薬より倍くらい多く出ました。12.5%の患者に発生しました。
眠気が出るのは、不眠気味で興奮が強い患者にとっては逆にいいかもしれません。NBI-1117568は、不眠気味の患者にとっては良い選択肢になるかもしれません。
コベンフィは1日2回服用する必要がありますが、NBI-1117568は、1日1回服用すればいいので、寝る前にでも服用すれば良いのではないでしょうか。
とは言え、フェーズ3試験でも再度、眠気の副作用が多く出るのかよく見ていきたいです。
NBI-1117568は、2025年前半にフェーズ3試験が始まります。米国では2028年前後の発売が見込まれています。うまくいった場合には、2027年内の米国発売もあり得るそうです。
ですので、日本発売は、希望的に見て2030年と予想します。
まとめ
この動画のまとめをします。
ムスカリン作動薬には、次のような可能性があります。
- 陰性症状に効く
- 認知機能障害に効く
- 体重増加がほとんどない
- 錐体外路症状がほとんどない
- 既存薬が効きにくい患者の陽性症状を抑える
コベンフィは既存薬に対する補助薬としては、2026年中に発売される可能性があります。単剤としては、いつになるか今の所よくわかりません。
エムラクリジンは、コベンフィにある消化器系の副作用が少ないです。ただし、単剤で効果が少ない場合、既存薬に対する補助薬として使われる事になるかもしれません。日本発売は2030年代前半と予想します。
NBI-1117568も、コベンフィにある消化器系の副作用が少ないです。眠気の副作用が多かったので、不眠気味の患者が選択するといいかもしれません。日本発売は2030年位になると予想します。
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