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はじめに
皆さん、こんにちは。今回は、ここ最近の開発中抗精神病薬の、最新情報をお伝えします。ブリラロキサジン、ウロタロント、NBI-1117568、CPL‘36についての新しい情報があります。
CPL‘36
まず、今回新しく紹介するCPL‘36について述べます。CPL’36も既存薬のようなドーパミン遮断薬ではありません。PDE10A阻害薬(ホスホジエステラーゼ10A阻害薬)と呼ばれています。
ムスカリン作動薬やTAAR1作動薬と並ぶ、革新的な統合失調症薬になる可能性があります。
PDE10A阻害薬には、脳の抗炎症作用、脳の抗酸化作用、脳の神経保護作用、脳のシナプス形成促進作用、などがあります。また、脳内でのドーパミンの活動にも影響を及ぼします。
陽性症状に加えて、陰性症状、認知機能障害への効果も期待されています。
PDE10A阻害薬であるCPL‘36は、フェーズ2試験でかなり高い有効性を示しています。効果量は、1.47もありました。これ程の数値はあまり見たことがありません。
効果量は一般的に、0.8で大きな効果、0.5で中等度の効果、0.2で小さい効果、と判断されます。
他の薬の効果量を挙げますと、今まで1番高かったクロザピンでも0.89です。かなり優秀なオランザピンでも0.56です。リスパダールでも0.55です。
以前、コベンフィのフェーズ2試験で効果量が0.75もあった時は、スゴい薬が出てきたなと思いましたが、CPL‘36は1.47なので、一体どれ程の効果なのか計り知れません。
陽性症状も陰性症状もすぐに改善してしまうかもしれません。
先程、PDE10A阻害薬は、抗炎症作用などのいろいろな作用があると言いましたが、それらも高い有効性に貢献しているかもしれません。
副作用も軽度でした。けれど、体重増加や錐体外路症状がどれ位あるかはわかりません。今後の情報をよく見ていきたいです。
CPL‘36のまとめ
CPL‘36は、ムスカリン作動薬やウロタロントと同等か、それ以上の革新的新薬になるかもしれません。
ウロタロント
次に、ウロタロントについて述べます。ウロタロントのフェーズ3試験が、2月に米国で始まっています。たぶん日本でも近々始まると思います。
米国のフェーズ3試験は、2028年8月に終わる予定です。日本でもその頃に終わると思います。
前回失敗だったフェーズ3試験では、プラセボ薬の症状の改善幅が異常に高かったです。そのせいで治験に失敗しました。今回はその辺りが対策され、有効性が示されて、治験が成功する事を願います。
ウロタロントのまとめ
ウロタロントの再度のフェーズ3試験がやっと始まりそうです。
NBI-1117568
次に、NBI-1117568について述べます。NBI-1117568のフェーズ3試験が、最近米国で始まりました。米国発売は2028年前後と見込まれています。
NBI-1117568は、PANSSスコアの尺度で有効性を測った場合、コベンフィと同等か低い程度でした。
けれど、CGI-Sスコアという尺度で有効性を測ったデータでは、コベンフィを上回っています。最近、そのようなデータが発表されました。
やはりNBI-1117568も有効性が高いかもしれません。副作用も軽いので、良い薬になると思います。
NBI-1117568のまとめ
NBI-1117568のフェーズ3試験が始まりました。有効性にも期待したいです。
ブリラロキサジン
次に、ブリラロキサジンについて述べます。ブリラロキサジンの長期投与試験の結果が、最近発表されました。
4週間のブリラロキサジンの短期投与の後、引き続き1年間投与した結果、PANSSスコアの改善幅は、-18.1点でした。
他の薬の場合、だいたい-10点~-18点位の改善幅になっています。ですので、ブリラロキサジンは、1年間の長期的有効性が高い部類に入ります。
ブリラロキサジンは、短期的な有効性も高いです。症状を改善させるパワーは高いかもしれません。ブリラロキサジンも、抗炎症作用が強いので、その分、有効性が高くなっているようです。
ブリラロキサジンは、レキサルティやエビリファイと同じ、ドーパミン部分作動薬です。
エビリファイやレキサルティは、特に、アカシジアの副作用が多いですが、ブリラロキサジンは、アカシジアがかなり少ないです。
体重増加も1年間の投与で平均1.52kg増加と、多くはなかったです。ドーパミン部分作動薬なので、認知機能障害への効果も期待が高いです。
ブリラロキサジンは、総合的にかなり期待できる薬だと思います。非定型抗精神病薬の中では最も期待が持てます。
ブリラロキサジンのまとめ
ブリラロキサジンは、長期的な有効性が高かったです。総合的にかなり期待できる薬です。
終わりに
今回は、短かかったですし、あまり重要な情報はなかったかもしれませんが、PDE10A阻害薬のCPL‘36について、特に伝えたかったです。
CPL’36は、コベンフィやウロタロントと並ぶ革新性がある可能性があります。陰性症状や認知機能障害への悪影響の多いドーパミン遮断薬ではない点に、特に期待しています。
今後の情報も追っていって、お伝えしていきます。
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