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はじめに

皆さん、こんにちは。今回は、今後何年かで発売される可能性のある抗精神病薬のうち、カプリタ、ブリラロキサジン、LB-102(ソリアンの改良版)の3つの薬についてお伝えします。
この3つの薬は、すべて非定型抗精神病薬です。ですが、現在使われている非定型抗精神病薬よりは、改善されている薬です。
それぞれ特徴のある薬になっています。もしかしたら、使ってみて自分によく合う薬だと感じる人もいるかもしれません。
「カプリタ」のいろいろな効果
まず、カプリタ(ルマテペロン)について話します。
カプリタは、現在米国で統合失調症や双極性障害のうつ状態に対して使われています。
大うつ病や全般性不安障害、アルツハイマー病に伴う精神病や興奮、双極性障害の躁状態などに対する適応も目指されています。
特徴
カプリタは、統合失調症の陽性症状に対してある程度効いたと言っている患者もいます。けれど、一般的にはそれ程の効果はないと言われています。
統合失調症より、うつ病や双極性障害などの方に多く使われる薬になるかもしれません。
カプリタを服用して、エネギッシュになったとか、気分が明るくなったとか、活動的になったとか、言っている人がかなり多くいました。いくつかの治験では、抗うつ効果が高いという結果が出ています。
一方で、眠気や鎮静の副作用が多く、フェーズ3試験では24%の患者に発生しています。睡眠を促す効果があるので、夜に飲むのが良いと言っている患者もいます。不眠気味の患者には良い薬かもしれません。
とは言え、数週間以内に眠気も消えて、元気になる人もいるそうです。
カプリタは、体重増加は少ないです。1年間の長期投与試験では、平均して3.2kgの減少となっています。
また、錐体外路症状やアカシジアも少ないと言われています。治験では、プラセボと同等しか発生しませんでした。
まとめ
カプリタについてまとめると次のようになります。
- 陽性症状への効果はやや弱い。
- 眠気はあるかもしれない。不眠の人には良さそう。
- 抗うつ効果は高い。
- 体重増加は少ない。むしろ減るかもしれない。
- 錐体外路症状は少ない。
開発状況
当チャンネルでは、カプリタの発売予想は2027年としていますが、これはあまり自信がないです。
カプリタは日本ではドラッグロス状態になっています。つまり、海外で発売されているのに、日本では治験が始まっていない状態です。
厚生労働省が出している資料では、カプリタはドラッグロス品目の一覧に記載されています。
厚生労働省は、現在ドラッグロスやドラッグラグの解消に取り組んでいます。石破内閣でも対策が進められています。
ドラッグロス対策次第で、カプリタもすぐに治験が開始されるという事もあるかもしれません。
カプリタは、米国でかなり売れています。何年か後には年間10億ドル以上の売り上げになり、ブロックバスターになると言われています。
ブロックバスターになる程人気がある薬なので、日本でもいずれ導入されるはずだと思います。
厚労省のドラッグロス対策によって、企業の治験が後押しされる事を期待します。
当チャンネルの2027年発売予想というのは、すぐにカプリタのフェーズ3試験が日本で始まった場合です。2027年は、正直かなり厳しいと思います。いつ治験が始まるのか注目していきたいです。
「ブリラロキサジン」はドーパミン部分作動薬
次に、ブリラロキサジンについて話します。
ブリラロキサジンは、エビリファイやレキサルティの進化版の薬です。この3つの薬は、すべてドーパミン部分作動薬と言う薬です。
オランザピンやリスパダールなどの現在一般に使われている薬は、ドーパミン遮断薬です。脳内のドーパミンの活動を強くブロックします。そうやって統合失調症を治療します。
ブリラロキサジンなどのドーパミン部分作動薬は、脳内のドーパミンの活動が適度になるように調節する薬です。
ドーパミンの活動を強くブロックする薬ではないので、錐体外路症状や高プロラクチン血症などの副作用が軽減されています。
けれど、なぜかわかりませんが、エビリファイやレキサルティはアカシジアの副作用が多いです。
特徴
ブリラロキサジンは、その辺りが改良されていて、アカシジアが少ないです。
フェーズ3試験でのアカシジアの発生率は、ブリラロキサジンは0.7%、レキサルティは5.1%、エビリファイは11.7%となっています。
また、ブリラロキサジンは、体重増加も少ないです。4週間で7%以上体重が増加した患者は、ブリラロキサジンで5.9%、エビリファイで9.2%、レキサルティで10.4%でした。
けれど、ブリラロキサジンは鎮静作用がエビリファイやレキサルティより強いです。眠気の発生率は、ブリラロキサジンは7.5%、エビリファイは3.1%、レキサルティは、2.0%でした。
より鎮静的な薬である事もあって、有効性が高いです。効果量は0.6もあります。オランザピンの0.56やリスパダールの0.55よりも高いです。統合失調症の症状を抑える効果は高いです。
認知機能障害の改善度合いもまあまあ高いというデータもあります。
まとめ
ブリラロキサジンを他のドーパミン部分作動薬と比較すると、次のようになります。
- 有効性が高い。
- 鎮静作用が高い。
- 体重増加が少ない。
- 錐体外路症状やアカシジアがかなり少ない。
開発状況
最新の情報では、ブリラロキサジンは2026年の7~9月にFDAに承認申請を行うという事になっています。
ですので、ブリラロキサジンの米国発売は早くても2027年になってしまいそうです。日本発売は、希望的に見て2029年と予想します。日本でいつ治験が始まるか次第です。
この薬の発売時期についても厚労省のドラッグロス、ドラッグラグ対策に依る所が大きいと思います。厚労省の施策についても注目していきたいです。
「LB-102」はソリアンの改良版
次に、LB-102について話します。
LB-102は、ソリアンと言う薬を改良した薬です。ソリアンに多かった高プロラクチン血症などの副作用が軽減されています。
特徴
ソリアンはかなり有効性の高い薬です。クロザピンに次いで2番目に有効性が高い薬です。オランザピンやリスパダールより優れています。
LB-102もフェーズ2試験で、ソリアンと同等の高い有効性が示されています。
けれど、LB-102は極端に賦活的な薬です。フェーズ2試験での不眠の発生率は、38.9%です。興奮も11.1%発生し、不安も11.1%発生しています。
ソリアンの場合、他に鎮静作用のある薬が必要な事があります。LB-102も同様かもしれません。
その反面、賦活的で抗うつ効果が高いです。
錐体外路症状は5.6%発生していて、並程度あります。
体重増加も並程度あります。LB-102で太る人もいると思います。オランザピンやリスパダールなどの太りやすい薬からの変薬の場合、体重が減るかもしれません。
まとめ
LB-102についてまとめます。
- 陽性症状や陰性症状などへの有効性が高い。
- 鎮静作用が弱く、賦活的な薬。
- 抗うつ効果が高い。
- 体重増加は並程度ある。
- 錐体外路症状も並程度ある。
開発状況
LB-102のフェーズ3試験が2025年内に米国で始まります。2027年に結果が出ます。その後に承認申請をした場合、2028年頃に米国発売でしょうか。
そうすると、日本発売は早くて2030年位になると思います。
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