「11個の新しい抗精神病薬/あと何年かで発売/革新的な新薬含む」第13回YouTube投稿

この記事は約10分で読めます。

動画

Youtubeチャンネルへのリンクも貼っておきます。是非、チャンネル登録お願いします。

メンタル系最新情報チャンネル | ネクセラの新薬など
このチャンネルでは「開発中の向精神薬」や「精神疾患の最新研究」などの情報を発信します。医学によって精神疾患が克服される過程を伝えたいです。コベンフィ、ウロタロント、ネクセラのM4作動薬、などには注目しています。できるだけ、皆さんからの質問や...

台本

はじめに

皆さん、こんにちは。今回は、あと何年かで発売される11個の新しい抗精神病薬を紹介します。「新しい抗精神病薬シリーズ」のまとめ動画です。最新情報も少し付け足します。

最初に最も革新的な統合失調症薬のコベンフィ、エムラクリジン、NBI-1117568、ウロタロント、について述べます。

これらの薬は、認知機能障害、陰性症状、体重増加、錐体外路症状、治療抵抗性の統合失調症、を改善できる可能性があります。

コベンフィ

まず、コベンフィは、2026年に日本発売が予測されています。米国では、去年発売されましたが、今の所、とても評判がいいです。

「頭を冴えさせる効果がある」と言っている患者や、「気分が良くなる」と言っている患者がいます。

実際に認知機能障害や陰性症状に効いたと言っている人もいますし、体重増加や治療抵抗性に効いた人もいます。

コベンフィについては、他の動画で詳しく述べたのでそれを見てみてください。

エムラクリジン

次に、エムラクリジンについて述べます。エムラクリジンは、コベンフィと同じムスカリン作動薬という薬です。

エムラクリジンも、認知機能障害、陰性症状、体重増加、錐体外路症状、治療抵抗性の統合失調症、を改善できる可能性があります。

エムラクリジンは、コベンフィが持つ消化器系の副作用が少ないです。消化器系の副作用が強過ぎてコベンフィが服用できない患者は実際います。その場合、エムラクリジンが選択できます。

ですが、エムラクリジンは、米国でのフェーズ2試験で有効性を示せませんでした。開発は遅れています。

日本での発売がされた場合、2030年以降になってしまうかもしれません。

NBI-1117568

次に、NBI-1117568について述べます。NBI-1117568もコベンフィやエムラクリジンと同じムスカリン作動薬です。

何度も言いますが、この薬も、認知機能障害、陰性症状、体重増加、錐体外路症状、治療抵抗性の統合失調症、を改善できる可能性があります。

NBI-1117568も、コベンフィが持つ消化器系の副作用が少ないです。また、フェーズ2試験では、眠気の副作用が12.5%の患者に出ています。

ですので、他のムスカリン作動薬より鎮静作用が強い可能性があります。不眠や興奮が強い患者には、良い選択肢になるかもしれません。

日本発売は、希望的に見て2030年と予想します。

ウロタロント

次に、ウロタロントについて述べます。ウロタロントはムスカリン作動薬ではなく、TAAR1作動薬です。既存薬と違い、ドーパミン遮断薬ではないです。

ウロタロントも、先程述べたムスカリン作動薬の持つ良い効果を全て持ちます。ですが、私見では、陰性症状についてはウロタロントの方が有望だと思います。

ウロタロントは、長期的な副作用を見てみると、眠気より不眠が出る事が多いです。ですので、鎮静的に働く人より賦活的に働く人の方が多いと思います。

要するに元気が出やすいです。そのため、大うつ病への適応も目指されています。

一方、認知機能障害への効果は、ムスカリン作動薬より弱いかもしれません。ただし、ウロタロントも、脳内のドーパミンを遮断する薬ではないので、頭の働きを鈍くする作用は軽減されていると思われます。

ウロタロントは他にも、食欲抑制効果、代謝改善効果、錐体外路症状軽減効果、追加投与時の有効性増強効果、抗うつ効果、抗社会不安障害効果、薬物依存を治す効果、日中の覚醒を促進する効果、ADHD改善効果、など様々な効果がある可能性があります。動物実験でそのような効果が見られています。

既存薬に追加されて使われたり、統合失調症以外の精神疾患に使われたりすれば、非常に良い薬になり得るのではないでしょうか。

日本発売は希望的に見て2030年と予想します。

4つの薬についての私見

コベンフィ、エムラクリジン、NBI-1117568、ウロタロントは、既存薬と違いドーパミン遮断薬ではありません。その事によって、認知機能や気分、感情、意欲などが健常者により近づく事ができるように思います。

私見では、プレコックス感(統合失調症患者っぽい雰囲気)を軽減する事ができるのではないかと思っています。

30年位前に非定型抗精神病薬が日本に導入されて、精神医療をかなり変えたと言われています。ムスカリン作動薬やウロタロントも、同じ位精神医療を変えると思います。

4つの非定型抗精神病薬

次に、カプリタ、ブリラロキサジン、LB-102(ソリアンの改良版)、バイサンティについて述べます。

これらの薬は、先程述べたムスカリン作動薬やウロタロントが持つ優れた効果を全て持つという訳ではないです。

ですが、それぞれ特徴のある薬なので、使ってみてよく合う人はいると思います。

カプリタ

まず、カプリタは、眠気や鎮静の副作用が多く、フェーズ3試験では、24%の患者に発生しています。不眠や興奮が強い患者に向くかもしれません。

それにも関わらず、抗うつ効果は高いです。エネルギッシュになったとか、気分が明るくなったとか、活動的になったとか言っている人がたくさんいます。治験の結果でもまあまあ高い抗うつ効果が出ています。

一般的に、鎮静効果が高い場合、抗うつ効果が低い傾向にありますが、カプリタのようにそうでない場合も結構あります。

また、カプリタは体重増加も少なく、1年間の長期投与試験では、平均して3.2kgの体重減少となっています。さらに、錐体外路症状やアカシジアも少ないです。

けれど、陽性症状への効果がやや弱いです。統合失調症より大うつ病や不安障害、躁うつ病により多く使われる薬になるかもしれません。

厚労省のドラッグロス対策

カプリタは、米国では2019年に発売されています。けれど日本ではまだ治験が始まっていません。この状態はドラッグロス状態と呼ばれます。国内企業がカプリタの開発を躊躇(ちゅうちょ)しています。

厚労省はそのようなドラッグロス状態を問題視しています。そこで厚労省は、カプリタなどの薬を「開発の必要性が高い医薬品」に指定しました。今後、厚労省から国内企業へ向けて、開発の要請や開発の募集がされる可能性があります。

それによってカプリタの治験が今年中に始まれば、2027年発売という事もあり得ると思います。ですが、それ程早く治験が始まるかはわかりません。今後のカプリタの開発動向に注目していきたいです。

ブリラロキサジン

次に、ブリラロキサジンについて述べます。ブリラロキサジンは、エビリファイやレキサルティの進化版の薬です。これらの薬は全てドーパミン部分作動薬という薬です。

エビリファイやレキサルティは良い薬ですが、アカシジアの副作用が多いです。ブリラロキサジンはその辺りが改良されていて、アカシジアが少ないです。フェーズ3試験では、0.7%しか発生しませんでした。

ブリラロキサジンは、体重増加も他のドーパミン部分作動薬より少ないです。鎮静作用については比較的強いです。

また、陽性症状や陰性症状への効果は高めです。オランザピンやリスパダールよりも高い可能性があります。結構良い薬になりそうです。

ブリラロキサジンの日本発売は希望的に見て2029年と予想します。開発社によって予定が遅らされているので日本発売の予想を2028年から2029年に変更しました。

LB-102

次に、LB-102について述べます。LB-102は、ソリアンという薬を改良した薬です。ソリアンより服用量が少なくても効果があるので、高プロラクチン血症などの副作用が軽減されています。

ソリアンは有効性がかなり高い薬です。オランザピンやリスパダールやブリラロキサジンよりも高いです。LB-102もフェーズ2試験でソリアンと同等の高い有効性が示されています。

けれど、LB-102は、極端に賦活的な薬です。フェーズ2試験では、不眠の発生率が38.9%でした。他に鎮静作用のある薬が必要になる患者もいるかもしれません。

賦活的な薬なので、抗うつ効果が高いです。

錐体外路症状や体重増加は、並程度あります。LB-102で太る人もいるかもしれません。オランザピンなどのかなり太りやすい薬からの変薬の場合は、体重が減るかもしれません。

LB-102は、2026年10~12月に米国での承認申請が行われる予定です。そうすると、2027年に米国発売でしょうか。ですので、日本発売は一番早くて2029年になるかもしれません。発売予想時期は、若干早めました。

2年というラグ(時間差)について

当チャンネルでは、どの薬でも米国で発売した後、2年後の日本発売を想定しています。これはかなりうまくいかないと難しいです。平均的には4年半位の差があると言われています。

海外で発売された薬が日本で早く発売されるためには、今後、厚労省のドラッグロス、ドラッグラグ対策が徹底される事が必要です。

ドラッグロス対策の一環としてカプリタが「開発の必要性が高い医薬品」として指定されたと言いました。今後、国内企業に開発の要請や募集が行われる可能性があります。

カプリタでさえ指定されたので、ドラッグロス状態になれば、ブリラロキサジンやLB-102も指定される事はあり得ると思います。それらもカプリタと同じ位有望な薬だからです。

カプリタで行われたように、今後も厚労省のドラッグロス、ドラッグラグ対策が行われていく事を期待しています。

ですので、思い切って、海外発売と日本発売の差を2年と想定していきます。これが現実的かはわかりません。発売時期の予想は、個人的な願望に近いという事をご了承ください。

バイサンティ

次に、バイサンティについて述べます。バイサンティは、イロペリドンを改変した薬です。非定型抗精神病薬です。今の所、治験結果のデータは公表されていないので、有効性や副作用などはわかりません。

統合失調症の他に、双極1型や大うつ病への適応も目指されています。

バイサンティは、最近、FDAに新薬承認申請されました。早ければ、2026年に米国で発売されます。ですので、日本の発売は希望的に見て2028年と予想します。

バイサンティについては、今まで情報がなくて、FDAに承認申請がされる段階で、急に情報が出てきました。他にも知らない未知の開発中新薬はあるかもしれません。見つかり次第、表に追加していきます。

3つの補助薬

次に、エベナミド、ロルペリドン、ベタインについて述べます。これらの薬は既存薬に追加されて使われる事になります。

エベナミド

まず、エベナミドは、特に期待の高い薬です。脳内のグルタミン酸の過剰な放出を阻害して、陽性症状を抑える薬です。

特に、治療抵抗性の患者への効果が期待されています。1年間の長期投与試験では、治療抵抗性の患者に投与されました。70%以上の患者にかなりの効果が見られました。25%の患者は寛解を達成しました。

治療抵抗性の患者、つまり既存薬が効きにくい患者に対する効果として、前例がない程の大きな効果でした。

また、1年間エベナミドを投与された患者は再発した人が1人もいませんでした。既存薬だけの場合、1年間投与された時、25~35%位は再発する患者が出てきます。エベナミドのこの効果は注目すべき事だと思います。

最近、日本ではEAファーマがエベナミドを開発する事になりました。もし来年にフェーズ3試験を始めたとしたら、日本発売は2028年位になるのではないでしょうか。エベナミドも発売予想時期を若干早めました。

ロルペリドン

次に、ロルペリドンについて述べます。ロルペリドンは、シグマ受容体調節薬と呼ばれます。陰性症状治療薬です。今まで陰性症状だけを治す薬はなかったので、期待が高いです。

フェーズ2試験では有効性が結構高く出ました。効果量は0.57でした。ですが、フェーズ3試験では、効果量が0.20しか出ませんでした。

米国の規制当局のFDAは、有効性や安全性を確認するためのデータが不足していると言っています。販売承認はなかなか下りず、発売に至っていません。

ロルペリドンが世に出るかどうかは、半々位の確率だと思います。出たとしても日本発売は2030年以降になると思います。申し訳ないですが、発売予想時期は遅らせました。

ベタイン

次に、ベタインについて述べます。ベタインは、既存薬に追加されて、陽性症状を治療します。東大病院で小規模な臨床試験が行われ、陽性症状への効果が確認されています。

ですが、創薬のための治験はなかなか始まっていません。発売されるとしたら、2030年以降になってしまうと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました