はじめに
イクレペルチンという統合失調症の認知機能障害治療薬があります。真偽は定かではありませんが、2026年に発売されるという噂(うわさ)もあります。今年中にフェーズ3試験が終わるはずです。
Redditなどの海外の掲示板で、イクレペルチンの治験に参加したと言っている患者がいました。その人たちの書き込みを和訳して紹介します。
schizophrenia.comの書き込み(思考の働きを改善する?)
イクレペルチンを飲み始めて4か月になりますが、時間が経(た)つにつれて、効果は増しているように感じます。
まだ効果はそれ程大きいとは言えませんが、自分の思考をうまく働かせる事ができるようになってきました。
イクレペルチンは、回復へ向けて個人的に努力する時にも助けになると思いますが、いろいろな精神療法を受ける時にも役立つと思います。
例えば、以前は、認知行動療法(CBT)を受けても、自分には役に立ちませんでした。けれど今は、社交的な不安や不安一般をコントロールさせるのに役立っています。思考の悪循環を抑えられています。
Redditの書き込み①(認知機能が鋭敏になる?)
イクレペルチン服用で、認知機能が鋭敏になったのを感じました。精神的疲労がなくなるのも感じました。
また、オランザピン服用による様々な副作用がなくなりました。
Redditの書き込み②(神経可塑性を促進→精神疾患全般に効果あり?)
イクレペルチンは、精神疾患全般に効きます。統合失調症以外の症状にも効果があります。
イクレペルチンは、NMDA受容体の機能を高めます。そのようにして、神経可塑性(しんけいかそせい)を促進します。
(訳者追記:上の図は、左から順に時間が経過しています。左は薬投与前の神経細胞。真ん中は薬投与2週間後。右は薬投与2か月後です。薬の投与によって神経可塑性が促進されています。つまり、脳内の神経細胞同士のつながりが強化されています。)
神経可塑性を促進することは、様々な精神疾患を治療するために大切になってきます。SSRIなどの抗うつ薬も、神経可塑性の促進により、うつ病を治療します。
SSRIなどの抗うつ薬は、脳内のセロトニンを増やす事によってうつ病を治療しているわけではないのです。神経可塑性の促進によって治療しています。
イクレペルチンは、神経可塑性を促進させる働きが抗うつ薬よりも強いです。
コメント
イクレペルチンは、グリシン再取り込み阻害薬です。脳内のグリシンの濃度を上げて、NMDA受容体の働きを促進します。その結果として、神経可塑性が促進されるようです。
神経可塑性が促進されることによって、認知機能障害だけに効くのではなく、精神疾患全般に効くらしいです。
イクレペルチンを服用して、思考の働きが改善したという書き込みや、認知機能が鋭敏になったという書き込みもありました。
認知機能障害自体について効果があったという書き込みは、まだそれ程多くはありません。今後の書き込みの情報などをウォッチしていきたいです。イクレペルチンへの期待は高まってきました。
コメント