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台本
はじめに
この70年で、最も革新的な統合失調症薬が、2024年に米国で発売されました。コベンフィという薬です。
AIの予測では、日本発売は2030年だそうです。最もうまくいった場合に2030年なので、もっと遅くなる可能性もあります。
2029年以降には、安価なジェネリックが発売される可能性があります。違法なので全くお勧めできませんが、個人輸入もできるようになるかもしれません。
この動画では、コベンフィは、今までの薬と比べて何が優れているのかについて、5点お伝えします。また、短所を2点、お伝えします。
以前作った動画の改訂版です。新しい情報もありますが、繰り返しもあります。動画の最後に、追加の補足情報もあります。
ところで、現在、一般的に使われている非定型抗精神病薬には、次のような問題点があります。
- 20~30%の患者について、陽性症状への効果が十分でない。つまり、治療抵抗性の患者がいる。
- 陰性症状への効果が十分でない。
- 認知機能障害への効果が十分でない。
- 体重増加がある。
- 錐体外路症状がある。
コベンフィは、これら5つの問題をかなりの程度、解決できる可能性があります。以下で、もう少し詳しく見ていきます。
陽性症状への効果が高い
コベンフィは、陽性症状への効果がかなり高いです。この表は、陽性症状への有効性(効果量)のランキングです。

コベンフィの効果量は、2つの治験で、0.59とか0.80とかいう結果が出ています。
ですので、少なくとも、オランザピンやクロルプロマジンより効果が高い可能性があります。もしかしたら、ソリアン、クロザピン、リスパダールより高いかもしれません。
治療抵抗性の患者への効果については、効くと言っている医師と、そうでもないと言っている医師がいます。
ある調査では、治療抵抗性の入院患者49名に投与されて、半数に、臨床的に意義のある改善があったそうです。
クロザピンを含めて他の薬が効かない患者に対して、半数に効きました。少なくない数だと思います。
陽性症状/まとめ
コベンフィは、陽性症状への効果が高いです。治療抵抗性の患者の半分に高い効果が出る可能性があります。
陰性症状への効果が見られる
コベンフィの陰性症状への効果は、治験では、一貫していません。この表は、陰性症状への有効性(効果量)のランキングです。

コベンフィの効果量は、2つの治験で、0.56とか0.23とかいう結果が出ています。ソリアン以上の効果があった時と、最下位のイロペリドンと同程度の時もありました。
コベンフィの陰性症状への効果について詳しくは、今後、動画1つを作ってお伝えする予定です。
結論を先に言いますと、憂うつになったり、効かなくなったりする人もいますが、感情が戻ったとか、健康な人が持つ感情が感じられるなど、今までの薬とかなり違う飲み心地になる人もいるかもしれません。
実はこの辺りは、個人的に最も期待している点です。
感情が戻ると言っている人がいますが、無感情状態から感情が出てきた結果、却ってうつ症状が出る人もいるようです。
陰性症状/まとめ
コベンフィは、感情が戻ると言っている人がいます。陰性症状について、今までの薬と違った、特別な効果が期待できるかもしれません。一方で、全く効かない人もいます。
認知機能障害への効果あり
コベンフィの有効成分であるザノメリンは、元々、認知症に対する薬として開発されていました。ですので、コベンフィは統合失調症の認知機能障害に効く可能性があります。
2008年のある調査では、語い学習やワーキングメモリーで最も強固な改善効果がありました。けれど、注意力や情報処理速度には、有意な改善は見られませんでした。

また、フェーズ2試験の事後分析でも、認知機能障害への効果が確認されています。並以上に認知機能障害がある患者に対しては、高い効果がありました。

認知機能障害/まとめ
コベンフィは、少なくとも2つの研究調査で認知機能障害への効果が示されています。SNSでも、多くの患者が効果があったと言っています。
コベンフィの認知機能障害への効果について詳しくは、今後、動画を1つ作る予定です。
体重増加がほぼない
コベンフィを1年間投与された患者は、平均して2.6kg体重が減少しています。65%の患者は、体重が減少しています。
コベンフィは消化器系の副作用があるので、そのせいで、体重が減少する場合もあるかもしれません。
体重増加/まとめ
コベンフィは、体重増加の副作用がほぼないです。
非定型抗精神病薬によって、多くの患者が体重増加の副作用に苦しめられています。コベンフィは、その人たちにとって救いの薬にもなり得ます。
錐体外路症状がほぼない
コベンフィの1年間の長期投与試験で出た錐体外路症状は、アカシジア1%、遅発性ジスキネジア0.3%、ジスキネジア0.1%だけです。
コベンフィは、ドーパミンを直接ブロックしないので、錐体外路症状は、ほとんどないです。
錐体外路症状/まとめ
コベンフィは、錐体外路症状がほぼ見られません。この点も、従来薬と比べて大きな優位性だと言えます。
1日2回飲む必要がある
以下では、コベンフィの欠点2つを見ていきます。コベンフィは、1日2回飲む必要があります。しかも、空腹時に服用しなくてはいけません。
米国では、服薬遵守をするのに、苦労している患者もいるようです。
その辺りを解決するために、1日1回服用で済む剤型や、持効性注射剤が開発されているようです。
1日2回服用/まとめ
コベンフィは、1日2回空腹時に飲む必要があり、かなり煩わしいです。
消化器系の副作用が強い
コベンフィは、消化器系の副作用が強いです。フェーズ2試験での副作用の発生率は、この表のようになっています。

便秘と吐き気が17%、口渇と消化不良と嘔吐が9%、下痢と食欲低下が2%となっています。SNSの書き込みでは、胸焼けが出たと言っている人も多かったです。
消化器系の副作用を緩和するために、吐き気止めや便秘薬など、他の薬を飲むと良い場合があります。
また、コベンフィをゆっくり開始するなどして、大幅に消化器系の副作用を防ぐこともできるようです。
治験では、消化器系の副作用は軽度か中等度で、多くは一時的だったと言われています。けれど実際には、消化器系の副作用が原因で、中止せざるを得ない人も一部いるかもしれません。
消化器系の副作用/まとめ
コベンフィの消化器系の副作用は厄介です。ですが、対処は可能ですし、何の問題もなく、出ない人も多くいるようです。
ここまでのまとめ
コベンフィは、
- 陽性症状への効果が高く、治療抵抗性に効く可能性があります。
- 陰性症状への効果の点では、感情が戻り、健康な感情が感じられるようになるかもしれません。
- 認知機能障害への効果にも、期待が高いです。
- 体重増加や錐体外路症状が、ほぼありません。
- 1日2回空腹時の服用は煩わしいです。
- 消化器系の副作用が強いです。
コベンフィには欠点もありますし、効き方にも、個人差があると思いますが、飲んでみてよく合えば、生活を大きく変えるような、革新的な薬になると思います。
ちなみに、病状が安定している患者が、コベンフィに変薬した時、1年後も服用し続けた割合は、49%だそうです。
この割合は、他の薬と変わりはありません。半分くらいの人は、定着できるかもしれません。
追加の補足情報
ですがやはり、コベンフィは魔法の薬ではありません。米国では、熱狂している人と、慎重になっている人、両方います。
奇跡の薬だと言っている人がいる一方、何か月か服用した後に、効果がなくなるという人も結構います。
導入の仕方が難しく、コベンフィの始め方によって、失敗するケースもあります。
陰性症状が強い患者や、覚醒剤の使用歴のある患者には、かなりよく効くと言われていますが、知的障害の人には、効きにくいと言われています。
攻撃性の強い人や、双極症の傾向のある人には、有意な効果は示されていません。
単剤では、陽性症状に対して効果が不十分、と言っている人も複数いました。陽性症状のためには、既存薬との併用が必要な人がいます。
コベンフィは補助薬として、陰性症状や認知機能障害改善のためだけに使うべき、と言っている人もいます。
補足情報/まとめ
コベンフィは合わない人も結構いるので、過度な期待は禁物だと思っています。こちらとしても、まだまだ情報が不足しているところがあるので、今後も情報を追っていって、見極めていきたいと思います。