【2026年版】開発中「統合失調症薬」リスト【新薬】(2026.6.10修正)

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はじめに

この記事では、米国や日本で開発されている抗精神病薬のリストをお示しします。全ての薬を網羅しているという事はないと思います。だいたいは入っていると思います。

以下で、長文が続きますが、最初は、文章の部分は飛ばしてもらってもいいです。リストの方だけ見ていただくという事でもいいです。文章は気が向いたら読んでください。

各1~3フェーズの薬が発売に至る割合(米国)

この記事には、2026年6月時点の開発段階を載せました。前臨床フェーズ1フェーズ2フェーズ3、のうち、どの段階にあるか書いてあります。

米国の統合失調症薬の場合、各フェーズの薬が、発売に至る割合は以下の通りです。

  • フェーズ1 6~8%
  • フェーズ2 12~15%
  • フェーズ3 45~55%

発売に至る薬は、結構少ないです。試験で有効性や安全性などを示せない事があるからです。フェーズ3試験までいっていても、半分は発売されません。

各1~3フェーズにある薬の発売までの期間(米国)

また、一般的に、各フェーズにある薬が、発売されるまでにかかる期間は以下の通りです。

  • フェーズ1試験開始から6~9年
  • フェーズ2試験開始から4~7年
  • フェーズ3試験開始から2~4年

例えば、以下のリストでフェーズ1(米国)と書かれていたら、その薬が米国で発売されるまでに6~9年以内だという事です。ただし、先程言ったようにフェーズ1の薬は6~8%しか発売に至りません。

あるいは、フェーズ3(米国)と書かれていたら、2~4年以内に米国で発売されます。けれど、治験に失敗する事もあるので、45~55%の薬しか発売に至りません。

ただし、近年は、規制当局であるFDAによって、ファストトラック指定、画期的治療薬指定、優先審査指定、などがされる事もあります。その場合、1~3年開発が短縮されます。

米国フェーズ3の薬は、いつ日本で発売されるか

ある薬が米国で発売された後、日本で発売されるまでの時間差をドラッグラグと言います。一般的に、米国と日本のドラッグラグは、3~6年位あります。

ですので、フェーズ3(米国)と書かれた薬が2027~2030年位に米国で発売されるとしたら、日本で発売されるのは、2030年代初頭くらいではないでしょうか。

ただしもちろん、治験に失敗するかもしれないですし、製薬会社が日本でも売ろうとするかはわかりません。結果的に、日本に入って来ない薬も多いです。たぶん、画期的で良い薬であれば、日本にも入ってくる可能性は高くなってくると思います。

日本でフェーズ3試験が既に始まっている新薬

ところで、以下のリストでは、水色でフェーズ3(日本)と書かれている薬があります。少ないので言ってしまいますが、コベンフィ、ウロタロント、エベナミドです。これらは、日本で既にフェーズ3試験が始まっています。日本で2029年頃に発売する事が予測されています。

ウロタロントについては、国際共同治験が行われています。この国際共同治験には、米国や日本も参加しています。

先程、米国と日本のドラッグラグは3~6年位と言いましたが、国際共同治験が行われた場合は、米国と日本の発売時期の差(ドラッグラグ)は、1~3年位です。ウロタロントの場合は、差は1年と予測されています。

長くなりましたので、以上で終わりにします。以下のリストでは、作用メカニズムごとに薬を分類し、1つ1つをセクションにしました。加えて最後に、認知機能障害治療薬と陰性症状治療薬のセクションも設けました。

開発中の「抗精神病薬」リスト(2026年6月1日時点)

ムスカリン作動薬(ムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬)

コベンフィ(Cobenfy, KarXT, トロスピウム + ザノメリン)M1/M4作動薬(M1サブタイプ受容体とM4サブタイプ受容体に作用)フェーズ3(日本)
ML-007M1/M4作動薬フェーズ2(米国)
NBI-1117570M1/M4作動薬フェーズ2(米国)
ST-905M1/M4作動薬フェーズ1(米国)
ギルガメシュ社の薬M1/M4作動薬前臨床(米国)
ディレクリジン(NBI-1117568, Direclidine, ネクセラのM4作動薬)M4作動薬(M4サブタイプ受容体に作用)フェーズ3(米国)
GXV813M4作動薬フェーズ2(米国)
ANAVEX3-71M1作動薬、シグマ1受容体作動薬フェーズ2(米国)
NS-136M4アロステリック作動薬M4サブタイプ受容体のアロステリック部位に作用)フェーズ2(米国)
エムラクリジン(Emraclidine)M4アロステリック作動薬フェーズ2(米国)
NMRA-861M4アロステリック作動薬フェーズ1(米国)
NMRA-898M4アロステリック作動薬フェーズ1(米国)
NTX-253M4アロステリック作動薬フェーズ1(米国)

TAAR1作動薬(トレースアミン関連受容体1作動薬)

ウロタロント(SEP-363856)TAAR1作動薬、セロトニン1A受容体作動薬フェーズ3(日本)
LY03020TAAR1作動薬、セロトニン2C受容体作動薬フェーズ2(中国)
ラルミタロント(Ralmitaront、RG7906、RO6889450)TAAR1部分作動薬フェーズ2中止(米国)

PDE阻害薬(ホスホジエステラーゼ阻害薬)

CPL’36PDE10A阻害薬フェーズ3(米国)
バリポデクト(balipodect)PDE10A阻害薬フェーズ3(米国)
EM-221PDE10A阻害薬フェーズ2(米国)
オソレスノントリン(Osoresnontrine, BI-409306)PDE9A阻害薬フェーズ2(米国)

グルタミン酸調節薬

エべナミド(Evenamide, EA8001)(補助薬)Nav1.3、Nav1.7 及び Nav1.8 電位開口型ナトリウムチャネル阻害薬フェーズ3(日本)
ポマグルメタッドメチオニル(DB-103)mGluR2 及び mGluR3作動薬(代謝型グルタミン酸受容体2&3調節薬)フェーズ2(米国)
SKL20540mGluR5調節薬(代謝型グルタミン酸受容体5調節薬)フェーズ1(米国)
LTX-001グルタミナーゼ阻害薬フェーズ1(米国)

神経可塑性促進薬

タズベンテトール(Tazbentetol,SPG302)シナプス再生療法フェーズ2(米国)
デリックス社の薬神経可塑性促進前臨床(米国)

新しい非定型抗精神病薬

カプリタ(ルマテペロン)ドーパミン2 及び セロトニン2A 受容体遮断薬、セロトニン再取り込み阻害、ドーパミン1受容体作動薬ドーパミン2自己受容体部分作動薬発売済み(米国)
バイサンティ(イロペリドン改良版, milsaperidone)ドーパミン2受容体遮断薬、セロトニン2A受容体遮断薬、α受容体遮断薬、その他の作用発売済み(米国)
カリプラジン(Vraylar, Cariprazine)ドーパミン2 及び セロトニン1A 受容体部分作動薬、セロトニン2A受容体遮断薬、その他の作用発売済み(米国)
ブリラロキサジン(Brilaroxazine, oxaripiprazole)ドーパミン2受容体部分作動薬、 セロトニン2A受容体遮断薬、その他の作用フェーズ3(米国)
LB-102(ソリアン改良版)ドーパミン2、ドーパミン3 及び セロトニン7セロトニン2B 受容体遮断薬フェーズ3(米国)
FKF-02SC(TGOF-02N)ドーパミン2及び セロトニン2A 受容体遮断薬、その他の作用フェーズ2(米国)

その他の作用メカニズム

リバルビ(オランザピン+サミドロファン, Lybalvi)(ドーパミン2 及び セロトニン2A 受容体遮断薬、その他の作用) + (μオピオイド受容体遮断薬)発売済み(米国)
AM-01(クロザピンの危険な副作用を軽減する薬)フェーズ3(米国)
ナベン(安息香酸ナトリウム, Clozaben, NaBen) (補助薬)D-アミノ酸酸化酵素阻害薬フェーズ2/3(米国)
デューデキストロメトルファン(Deudextromethorphan、AVP-786, CTP-786)シグマ1受容体作動薬,、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬、非競合的NMDA受容体遮断薬、ムスカリン作動薬、その他の作用フェーズ2/3(米国)
マスピルジン(Masupirdine, SUVN-502)セロトニン受容体遮断薬フェーズ2(米国)
ルバダキシスタット(Luvadaxistat, TAK-831)(補助薬)D-アミノ酸酸化酵素阻害薬フェーズ2(米国)
SP-624遺伝子発現、代謝、DNA修復、の調節フェーズ1/2(米国)
AVAT-021(CBD, カンナビジオール)カンナビノイド受容体調節薬、抗酸化薬、 その他の作用フェーズ1(米国)
CVN766オレキシン1受容体阻害薬フェーズ1(米国)
TS-134作用メカニズム不明フェーズ1(米国)
NXE0048149GPR52作動薬(オーファンGタンパク質共役型受容体52受容体作動)フェーズ1(米国)
OV4071KCC2直接活性化薬(カリウム・クロライド共輸送体2 直接活性化薬)フェーズ1(米国)
オーティフォニー社の薬Kv3カリウムチャネル調節薬前臨床(米国)
ベタイン(Betaine)(補助薬)作用メカニズム不明不明(日本)

認知機能障害治療薬

イニダスカミン(Inidascamine, RL-007)アセチルコリン受容体調節薬、GABAB受容体調節薬、NMDA受容体調節薬フェーズ2(米国)
KYN-5356キヌレニン-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ阻害薬フェーズ2(米国)
VQW-765ニコチン作動薬(α7ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬)フェーズ2(米国)
ASP-4345ドーパミン1受容体アロステリック作動薬フェーズ2(米国)
GT-002GABA Aアロステリック作動薬フェーズ2(デンマーク)
ALTO-101PDE4阻害薬フェーズ2失敗(米国)
SKL-15508ニコチン作動薬フェーズ1/2(米国)
MT1988ニコチン作動薬フェーズ1(米国)
プラジネムドール(Plazinemdor)NMDA受容体アロステリック作動薬フェーズ1(米国)
NXE0041178GPR52作動薬不明
サマリサント(samelisant) ヒスタミンH3逆作動薬不明
ウスマラプリド(Usmarapride, SUVN-D4010)セロトニン4受容体部分作動薬不明
BMS-955829mGluR5アロステリック作動薬不明
ASP-5736セロトニン5A受容体阻害薬不明

陰性症状治療薬

ロルペリドン(Roluperidone)セロトニン2A 及び シグマ2 受容体遮断薬フェーズ3(米国)
CT-155デジタル機器(スマートフォンアプリ)フェーズ3(米国)
バフィデムスタット(vafidemstat)LSD1阻害薬(リジン特異的脱メチル化酵素1阻害薬)フェーズ2(米国)
LY03017セロトニン2A逆作動薬フェーズ1(米国)

「認知機能障害治療薬」や「陰性症状治療薬」については、次の記事で詳しく書いています。
統合失調症の認知機能障害や陰性症状に効く開発中新薬22個

参考文献

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