革新的な統合失調症薬コベンフィ治験/補助薬としては効果示せず/依然として有望な理由4つ&懸念点2つ

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はじめに

先日、米国で、コベンフィを補助薬として使ったフェーズ3試験の結果が出ました。有効性は示せず、治験は失敗しました。

もちろん、米国ではコベンフィ単剤での有効性は確認されていて、単剤としては既に発売されています。まだ補助薬としての適応が得られそうにないというだけの事です。

日本においては、逆に単剤での治験は始まっていないのですが、補助薬としてのフェーズ3試験は行われています。

米国での補助薬としての治験は失敗でも、日本の補助薬としての治験は中止になっていないようです。日本での治験は予定通り行われて、2026年に発売する可能性は依然としてあると思います。

また、米国での補助薬としての治験失敗を受けて、日本での単剤の試験が始まるのではないかと見ている人もいるようです。どうなるかはわかりませんが、早く始まって欲しいです。

コベンフィが補助薬としてあまり効き目がなかった事で、失望している人もいるかもしれません。依然としてコベンフィは革新的な薬である可能性は十分にあるという事をこの動画でお伝えします。

けれど、2点ほど懸念点があります。後半部分でお伝えします。

コベンフィが有望な理由

① 補助薬としての治験は成功するのがそもそも難しい

まず、なぜ今回治験に失敗したかというと、一般的に補助薬として治験で有効性を示すのは、かなり難しいという事があります。

今回コベンフィが投与されたのは、既に治療を受けていて、ある程度安定している患者でした。その場合、統計的に追加的効果を加える事は困難になります。

補助薬としての試験は、複雑で方法論的に困難な性質を帯びています。患者間の効果のばらつき、試験設計の難しさ、追加効果を出す事の難しさ、などがあります。

他の既存薬の場合でも、併用薬としてデータ的に強力な効果を示した事はないと言われています。

そんな中、コベンフィと既存薬との併用でPANSSのスコアを平均-14.3点も減少させたのは、効果としてそれ程小さくはないと見る事もできます。

開発社によると、試験に参加した患者の大多数において顕著な改善が見られているそうです。データとしては、有望であると言われています。

今後、補助薬としてコベンフィを使った追加の試験をやるという選択肢もあるようなので、よく注目していきたいです。

② リスパダール以外に追加された場合は効果が高い

今回コベンフィとリスパダールを併用した60名の患者だけのデータを見てみると、改善度合いが特に少なくなっています。プラセボ薬以下の改善しかありませんでした。

一方、リスパダール以外の薬とコベンフィを併用した130名の患者の改善度合いは大きいです。p値が0.03なので、統計的に有意な改善はありました。

つまり、リスパダールを使っていない人は、コベンフィを追加投与すれば、症状が十分に改善する可能性は高いという結果です。

リスパダールを使っていない人はたくさんいると思うので、依然としてコベンフィの追加投与は有望です。もしかしたら、治療抵抗性の人もリスパダールとの併用でなければ十分に効くかもしれません。

今回なぜ、リスパダールとの併用だけ有効性が低く出たのかは、今後、分析、研究されると思います。

ただし、再度補助薬としての試験をやった場合、リスパダールとの併用でまた効果が低くなるかは不明です。

③ 3つの優位性は依然としてある(単剤では依然5つともある)

今回の治験では、補助薬として使われた時、陽性症状や陰性症状などに対しての追加効果が小さかった、というだけの話です。

依然として、認知機能障害への効果が期待されますし、体重増加、錐体外路症状がほとんどないという事には変わりがありません。

また、単剤としての陽性症状や陰性症状への高い有効性は否定されていないです。もちろん、単剤での認知機能障害、体重増加、錐体外路症状への効果も否定されていません。

④ 患者や医師の評判は非常によく、かなり売れている

以下の話は、補助薬としての情報ではなく、単剤としての情報です。

開発社によると、コベンフィの有効性と安全性について患者と医師の両方から非常に前向きな評価を受けているそうです。

陽性症状、陰性症状、認知機能障害、思考の明晰さ、などの改善で評判が良いそうです。これは自分がRedditで見た評判と一致しています。

発売後の売り上げも好調で新規の投与件数も毎週確実に増加しています。今後も拡大を続ける見込みです。年間を通じて堅調に伸びていき、2025年後半には利用が急増する事が予想されています。

売り上げが伸びているという事は、効果や副作用などの面で、実際に好ましいという可能性があります。

コベンフィの懸念点

① 日本での補助薬としての治験成功は難しい?

以下で2点ほど心配な事を言います。

1つ目は、一般的に、補助薬としての治験の成功はかなり難しいそうなので、日本での補助薬としての治験も難しくなってくるのではないかという事です。

米国での治験失敗の前に既に日本での治験は始まっています。米国での治験失敗を踏まえて、試験設計を工夫する事などもできません。

そうなるとやはり、補助薬としての治験はかなり難しくなってくると思います。米国での失敗は繰り返される可能性はあります。

単剤での試験も早く始まって欲しいところです。

② Redditで効かなくなった人がいる

これも補助薬としての情報というより、単剤としての情報です。

Redditでコベンフィを服用したと言っている人を10名発見しましたが、そのうち1人効果がなくなった人がいます。

I.Mさんというソフトウェア開発者の人は、陰性症状についても認知機能障害についても、かなりの改善が見られていました。

けれど、服用開始から約2か月でうつ症状が酷くなり、その後、不安や幻覚が出て、コベンフィの服用を中止しました。

ですので、コベンフィ長期投与で効果がなくなる人も一部いるかもしれません。その他の9名は変わりがない、あるいは、その後の事は不明です。

今後、コベンフィを長期投与した時の効果について動画を作る予定なので、それも参考にしてください。

まとめ

この動画をまとめます。依然としてコベンフィが有望である理由は4つです。

① 補助薬としての治験は、そもそも成功するハードルが高い。今回のデータ結果は、有望なものだと考える事もできる。

②リスパダール以外を服用している人に追加された場合は、十分に効く可能性がある。

③単剤での認知機能障害、体重増加、錐体外路症状、陽性症状、陰性症状への効果は否定されていない。単に、補助薬として使われた時、陽性症状や陰性症状などに対しての追加効果が小さかった、というだけの話。

④ 患者や医師の間で評判も良く、かなり売れている。実際に良い薬である可能性は高い。

コベンフィの現時点での懸念点は2つです。

① 補助薬としての日本の治験の成功はかなり難しいかもしれない。単剤の治験が早く始まる事が望まれる。

② かなり効いていたのに、2か月後に効かなくなった人がRedditにいる。コベンフィ長期投与で効果がなくなる人も一部いるかもしれない。

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