リスパダールの「まとめリンク集記事」があります。
リスパダール はじめに&まとめリンク集(1/11)
この記事では、リスパダールが不眠、眠気、鎮静、に対してどのように作用するかを考えてみます。
脳の睡眠回路は、GABA(ギャバ)という神経伝達物質が作動させます。覚醒回路は、ヒスタミン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、などの神経伝達物質が作動させます。
神経伝達物質は、脳の神経細胞についている「受容体」に結合して、覚醒回路や睡眠回路を作動させます。
ヒスタミン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンは、それぞれ順に、H1受容体、M1受容体、α1受容体、D2受容体、5HT2A受容体、に結合し、覚醒回路を作動させます。
(それぞれの神経伝達物質は、別のサブタイプの受容体へも結合しますが、覚醒回路を作動させる代表的なサブタイプ受容体を挙げました。)
それらの神経伝達物質が各受容体へ結合するのを、抗精神病薬が遮断(阻害)すると、覚醒回路が遮断(阻害)されます。すると、眠気や鎮静が起こります。
リスパダールが、それらの受容体を遮断(阻害)する作用はどれ位か、ki値で考えてみたいと思います。下の表にそれぞれのki値を示します。
作用 | リスパダールのki値 |
H1受容体遮断 | 155 |
M1受容体遮断 | >5000 |
α1受容体遮断 | 2 |
D2受容体遮断 | 3 |
5HT2A受容体遮断 | 0.6 |
鎮静作用に1番影響を及ぼすH1遮断作用は、ki値155で、いくらかあります。
M1遮断作用は、ほぼないです。α1遮断作用は、ki値2で強いです。D2遮断作用も、ki値3で強いです。5HT2A遮断作用は、ki値0.6で非常に強いです。
D2遮断作用がki値3で、やや強い程度ですが、リスパダールはD2受容体に長く結合するので、ki値3という数値以上に、その作用はかなり強くなっています。
結果的に、ある程度鎮静作用は高くなっています。特に、安定維持期になってくると、鎮静作用を強く感じる人の方が多いようです。
実際にリスパダールを使った人の話では・・・・
- 「眠気の副作用が強く出る事と、寝過ぎ+寝起きが悪くなるのが困る。」
- 「昼間は体がだるくしんどく眠いです。」
- 「何も手につかなくなって、ただひたすら寝ておきたいってのはあるな。」
- 「普段やたらと眠くなって疲れやすくなる。」
などと、言っている人がいました。逆に、ごく一部の人は・・・
- 「夜、眠気が全く来ないから仕事もできない。」
- 「私は22時に就寝して3時に中途覚醒。その後、起きだしてはまた眠るのを2~3回繰り返して、8時起床。朝は体がだるくて眠くてしんどい。」
などと、言っていました。
治験の副作用データでは、賦活系(興奮系)と鎮静系の副作用は、下の表のようになっています。
賦活系副作用 | 発生率 | 鎮静系副作用 | 発生率 | |
不眠症 | 4.11% | 眠気 | 2.55% | |
易刺激性 | 2.98% | 倦怠感 | 2.29% | |
不安 | 2.38% | 鎮静 | 0.7% | |
激越 | 1.10% | |||
落ち着きのなさ | 0.54% |
賦活系の副作用の方が若干目立っているように見えますが、表の副作用データは「急性期」患者に対するデータなので、そのせいで賦活系の副作用が少し多く出たのかもしれません。
安定維持期の患者の感想では、眠くなる人の方が、断然多かったように思います。
リスパダールは、安定維持期の患者に使われた場合、眠気が出る事が多く、どちらかと言うと、「鎮静的な薬」のように思われます。急性期に使われた場合も鎮静作用はある方だと思います。
次の記事へのリンクはこちらです。
リスパダールは「陰性症状への効果」や「抗うつ効果」が弱い (4/11)
リスパダールの「まとめリンク集記事」があります。
リスパダール はじめに&まとめリンク集(1/11)
コメント