【中上級者向け】リスパダールの「不眠、眠気、鎮静作用」について (3/11)

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リスパダールの「まとめリンク集記事」があります。
リスパダール はじめに&まとめリンク集(1/11)

この記事では、リスパダールが不眠、眠気、鎮静、に対してどのように作用するかを考えてみます。

脳の睡眠回路は、GABA(ギャバ)という神経伝達物質が作動させます。覚醒回路は、ヒスタミン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、などの神経伝達物質が作動させます。

神経伝達物質は、脳の神経細胞についている「受容体」に結合して、覚醒回路や睡眠回路を作動させます。

ドーパミンの覚醒回路を例として示します

ヒスタミン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンは、それぞれ順に、H1受容体、M1受容体、α1受容体、D2受容体、5HT2A受容体、に結合し、覚醒回路を作動させます。

(それぞれの神経伝達物質は、別のサブタイプの受容体へも結合しますが、覚醒回路を作動させる代表的なサブタイプ受容体を挙げました。)

それらの神経伝達物質が各受容体へ結合するのを、抗精神病薬が遮断(阻害)すると、覚醒回路が遮断(阻害)されます。すると、眠気や鎮静が起こります。

リスパダールが、それらの受容体を遮断(阻害)する作用はどれ位か、ki値で考えてみたいと思います。下の表にそれぞれのki値を示します。

作用リスパダールのki値
H1受容体遮断155
M1受容体遮断>5000
α1受容体遮断2
D2受容体遮断3
5HT2A受容体遮断0.6

鎮静作用に1番影響を及ぼすH1遮断作用は、ki値155で、いくらかあります。

M1遮断作用は、ほぼないです。α1遮断作用は、ki値2で強いです。D2遮断作用も、ki値3で強いです。5HT2A遮断作用は、ki値0.6で非常に強いです。

D2遮断作用がki値3で、やや強い程度ですが、リスパダールはD2受容体に長く結合するので、ki値3という数値以上に、その作用はかなり強くなっています。

結果的に、ある程度鎮静作用は高くなっています。特に、安定維持期になってくると、鎮静作用を強く感じる人の方が多いようです。

実際にリスパダールを使った人の話では・・・・

  • 「眠気の副作用が強く出る事と、寝過ぎ+寝起きが悪くなるのが困る。」
  • 「昼間は体がだるくしんどく眠いです。」
  • 「何も手につかなくなって、ただひたすら寝ておきたいってのはあるな。」
  • 「普段やたらと眠くなって疲れやすくなる。」

などと、言っている人がいました。逆に、ごく一部の人は・・・

  • 「夜、眠気が全く来ないから仕事もできない。」
  • 「私は22時に就寝して3時に中途覚醒。その後、起きだしてはまた眠るのを2~3回繰り返して、8時起床。朝は体がだるくて眠くてしんどい。」

などと、言っていました。

治験の副作用データでは、賦活系(興奮系)と鎮静系の副作用は、下の表のようになっています。

賦活系副作用発生率鎮静系副作用発生率
不眠症4.11%眠気2.55%
易刺激性2.98%倦怠感2.29%
不安2.38%鎮静0.7%
激越1.10%
落ち着きのなさ0.54%

賦活系の副作用の方が若干目立っているように見えますが、表の副作用データは「急性期」患者に対するデータなので、そのせいで賦活系の副作用が少し多く出たのかもしれません。

安定維持期の患者の感想では、眠くなる人の方が、断然多かったように思います。

リスパダールは、安定維持期の患者に使われた場合、眠気が出る事が多く、どちらかと言うと、「鎮静的な薬」のように思われます。急性期に使われた場合も鎮静作用はある方だと思います。

次の記事へのリンクはこちらです。
リスパダールは「陰性症状への効果」や「抗うつ効果」が弱い (4/11) 

リスパダールの「まとめリンク集記事」があります。
リスパダール はじめに&まとめリンク集(1/11)

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