統合失調症に効く10個のサプリメント【オメガ3脂肪酸、グリシン、ビタミンなど】

この記事は約8分で読めます。

はじめに

統合失調症に効くサプリメントについて要望がありました。記事を作ります。

この記事で紹介するサプリメントのいくつかは、陽性症状を改善できるかもしれません。けれど、多くは、陰性症状認知機能障害を改善する可能性があるサプリメントです。

抗精神病薬の代わりになるものではなく、補助的に使われるものです。

効果について科学的エビデンスのあるサプリメントについて書きます。けれど、被験者数がまだ少なかったり、研究結果が一定しないサプリメントもあります。

また、ある人には効くけれど、別の人には効かないという事もあるかもしれません。副作用にも注意が必要です。

グリシン

グリシンはアミノ酸の一種です。陽性症状、陰性症状、認知機能障害に効く可能性があります。

いくつかの小規模の試験で、抗精神病薬の補助薬として使われました。だいたいにおいて、効果があるという結果が出ています。

2004年の調査研究では、オランザピンやリスパダールに補助薬として追加され、効果が調べられました。6週間に渡り17人に投与されました。陽性症状、陰性症状、認知機能障害、を改善させました。

この調査では、グリシンを補助薬として高用量追加すると効果的である、と結論づけられました。

High-dose glycine added to olanzapine and risperidone for the treatment of schizophrenia

サルコシン

サルコシンもアミノ酸の一種です。グリシンの脳内での利用を促します。記憶を改善させると考えられています。

抗精神病薬に追加された時に、陽性症状、陰性症状、認知機能障害、を改善できる可能性があります。

けれど、2020年の調査論文では、統合失調症の症状を有意に改善させる事は示されませんでした。

ですが、いくらかの改善はあったようです。クロザピン以外を服用している患者については、良好な結果が見られました。

Efficacy and cognitive effect of sarcosine (N-methylglycine) in patients with schizophrenia: A systematic review and meta-analysis of double-blind randomised controlled trials

オメガ3脂肪酸

魚の油には抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸が含まれます。オメガ3脂肪酸には、抗炎症作用や抗酸化作用があります。

それらの作用は、統合失調症を含む精神疾患の改善につながります。また、認知機能障害を改善できる可能性があります。

2017年の調査では、統合失調症患者の精神症状、認知機能、社会機能、の改善効果が見られています。オメガ3脂肪酸の血中濃度が高い程、改善効果が高いという事が示されています。

Omega-3 fatty acids related to cognitive impairment in patients with schizophrenia

2015年の調査では、統合失調症の前兆が見られる若者に、オメガ3脂肪酸が投与されました。

オメガ3脂肪酸を摂取したグループでは、12週間後に統合失調症を発症した人は、10%しかいませんでした。プラセボ薬を摂取したグループでは、12週間後に統合失調症を発症した人は、40%もいました。

統合失調症リスクのある若い人に魚油を投与すると、発症を防ぐ効果があるかもしれません。

Longer-term outcome in the prevention of psychotic disorders by the Vienna omega-3 study

イチョウ葉

古くから中国では、イチョウ葉が薬用として用いられています。記憶喪失、認知症、ストレス、不安など、様々な症状を改善するために使われてきました。

陽性症状や遅発性ジスキネジアを改善できる可能性があります。けれど、本当に効果があるかは確定していません。

アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)によって行われた大規模な試験(被験者3千人)によると、記憶、認知症、不安などに対して、イチョウ葉は有効ではない事が示されています。

NCCIH Ginkgo

反対に、他の臨床試験では、それらに対する有効性が示されたりしています。

イチョウ葉エキスの有効性および安全性

N-アセチルシステイン(NAC)

N-アセチルシステインは、アミノ酸の一種です。N-アセチルシステインを摂取すると、グルタチオンの体内濃度が上昇します。

グルタチオンは、抗酸化物質です。グルタチオンが不足すると、脳の炎症や神経変性状態につながります。また、統合失調症にもつながります。

グルタチオンの前駆体であるN-アセチルシステインを摂取すれば、認知機能障害を改善できる可能性があります。陽性症状への効果は見られていません。

2019年の調査論文では、統合失調症患者のワーキングメモリーを改善させる事が示されています。24週間で効果が見られましたが、8週間以前では効果が見られませんでした。

何か月か継続してN-アセチルシステインを摂取する事が必要であると言われています。

Meta-analysis of randomised controlled trials with N-acetylcysteine in the treatment of schizophrenia

スルフォラファン

スルフォラファンは、ブロッコリーに微量に含まれます。強力な抗酸化作用と抗炎症作用があります。

スルフォラファンは、N-アセチルシステインと同様に、グルタチオンの体内濃度を上昇させます。グルタチオンには、強力な抗酸化作用があります。

統合失調症患者は、グルタチオンが不足している事が多いです。グルタチオン濃度を上げてやれば、症状を改善できる可能性があります。

2015年に、8週間の小規模な研究が行われています。それによると、一日30mgのスルフォラファンを摂取した統合失調症患者は、認知機能の改善が見られました。

An Open Study of Sulforaphane-rich Broccoli Sprout Extract in Patients with Schizophrenia

タウリン

タウリンはアミノ酸の一種です。毒素や炎症から脳を守ります。また、タンパク質の欠乏を防ぎます。統合失調症患者の脳ではしばしばタウリン濃度が低下している、という調査結果があります。

タウリンは、精神病の症状を改善できる可能性があります。

2016年の調査では、18歳から25歳の、初発の統合失調症患者に対するタウリンの効果、が調べられています。

その調査によると、タウリンを一日4g、12週間投与された患者は、精神病症状が改善しました。また、患者のうつ症状を抑制し、社会的機能を高めました。

Adjunctive Taurine in First-Episode Psychosis: A Phase 2, Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Study

テアニン

緑茶にはテアニンが含まれます。認知機能を改善させたり、リラックス効果があったり、睡眠を改善したりする効果があります。統合失調症にも効く可能性があります。

国立精神・神経医療センターが、テアニンの統合失調症に対する効果を調査しています。

患者にテアニンを2か月摂取してもらった結果、精神症状や睡眠の質が改善しました。また、テアニンは、グルタミン酸神経系の活動を調節する事が明らかになりました。

テアニンの機能性~特に向精神作用について~

テアニンは、安全なサプリメントです。統合失調症患者が緑茶を摂取する事は、推奨されるべきものだと思います。

ビタミン群

多くの研究者は、統合失調症患者はビタミンが不足している、と言っています。ビタミンA、B、C、D、Eの不足は、統合失調症の発症につながります。

これらのビタミンは、脳の発達を助け、脳の炎症を防ぎ、神経伝達物質を調節する、などの効果があります。そうして、統合失調症を改善します。

マルチビタミンなどのサプリメントが良いかはわかりません。けれど、多くの種類の野菜を摂取したり、栄養バランスを考えて食事をとる事は、統合失調症の症状にもいいかもしれません。

Vitamin Supplementation in the Treatment of Schizophrenia

追記:だいたいどのビタミンであっても統合失調症へは良いと思います。特にビタミンB3は良いです。ビタミンB3は、ニコチン酸やナイアシンとも呼ばれます。肥満防止にも有効です。

ビタミンB3については、次のリンク先のブログに詳しく載っています。
https://mariyaclinic.com/nutrition/niacin/

ベタイン

ベタインはサプリメントと言うより、抗精神病薬として現在開発されています。ベタインは、ピリドキサミンと同じく、カルボニルストレスを緩和する薬です。

治療抵抗性の統合失調症の人の中に、カルボニルストレスが高まっている人がいるらしいです。特に、治療抵抗性の人たちは、ベタインが効く可能性があります。

ベタインは、広く魚介類や植物に含有している「天然の物質」です。副作用もそれ程ないらしいので、もしかしたら、将来、気軽に「補助薬」として処方されるようになったりするかもしれません。脳の抗炎症作用や神経保護作用もあります。

東大病院がベタインの臨床試験を行い、うまくいったようです。陽性症状を有意に改善させました。東大病院での臨床試験がうまくいった場合、抗精神病薬として開発計画を進めていくという事になっていました。

今後、開発が始まることを期待したいです。

コメント

統合失調症に効くサプリメントは、抗炎症作用を持っているものが多いと感じました。

例えば、N-アセチルシステイン、オメガ3脂肪酸、イチョウ葉、スルフォラファン、タウリン、ビタミンC、ビタミンEなどです。

一方、テアニン、グリシン、サルコシン、ビタミン群は、脳の神経伝達物質の調節をします。

やはり統合失調症は、脳の炎症を抑えたり、神経伝達物質の分泌を良い状態にする事が、大事なのかもしれません。

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