「無能な働き者」という言葉がある。Googleで検索してみると、いくつかのブログがみつかる。
その中で「無能な働き者」の特徴について次のように言われていて、有害な人たちだとされている。
- 自分は有能だと思い込んでいる
- ミスを繰り返す
- 効率が悪い
- プライドが高い
- 責任転嫁する
- 非を認めない
- 適切に判断出来ないうえに勝手に行動する
- 他人に迷惑をかけたことに気づけない
- 常に他人より高い位置にいるつもり
- 責任感を負わず、自分の非を認めない
しかし、「無能な働き者」を上のように決めつけて抑え込む事こそ、害悪につながると思う。働き者で結構じゃないかということについて書く。
要するに今の時代、働き者でやる気があれば、誰にだって可能性はある。思い切ってやることを阻害させるような考えは有害ではないか、という事について書く。
追記:おそらくこの記事は、やや複雑になってしまったので、1回読んですぐわかる文章になっていない。誤読している人もいた。
近代の軍隊の格言
この言葉は百年ぐらい前にワイマール共和国のハンス・フォン・ゼークトという軍人が言ったとされている。その発言は次のようなもの。
軍人には四つのタイプがある
有能な怠け者は指揮官にせよ
有能な働き者は参謀に向いている
無能な怠け者は連絡将校か下級兵士が務まる
無能な働き者は銃殺するしかない
これを詳しく解釈すると次のようになる。
「有能な怠け者」…有能なので物事の判断に優れる。また、怠け者なので人を動かす事に長けており、組織のトップや司令塔、チームのリーダーに立てるリーダータイプの人である。
「有能な働き者」…有能なので物事の判断に優れるが、働き者なので人に任せる事はしない。よって参謀や秘書等のサポートする職などが向いている。
「無能な怠け者」…自分で適切な判断が出来ないので、自分からは動こうとしない人である。よって下級兵士や連絡将校の他、作業員や肉体労働者といった命じられた通りに動く職に向く、どこの世界でも大多数の人で、どこの世界でも一番数が必要な存在。
「無能な働き者」…自分で適切な判断も出来無いのに、自由意思で勝手に動き回る人。組織にとって悩みと不安の種である。
現代社会の常識
しかし、ゼークトがこれを言ったのは百年も前。主に軍隊の組織について考えられたような、上意下達の、かなり近代主義的な状況についての発言。
また一つの作戦ミスで何百人も何千人も兵士が死んでしまうような、極限状態にあるような状況まで考えられた話。
今はポストモダン以後の時代、なにより現場が大事だといわれるようなボトムアップの時代、という所がまず違う。
また今は、戦時でもない余裕のある成熟社会なのだから、失敗はできるだけ許容して、そこから学ばせるべきだと思うし、果敢に自分の頭で考えさせるべきだと思う。
これは現代では一般的に言われているような当り前な話ではないか。後で言うように、無能な人も、傲慢でなければ、失敗から反省して学ぶ。
今の時代にはチャレンジをさせて、実地の経験を増やすことがより重要になっていると思う。
しかも、軍隊の組織からしても今では、近代主義的な上意下達でやるのではなく、ゼークトの考えるようなやり方とは反対なものになっている。
ボトムアップ式に末端まで、下士官の方まで、権限を与えて考えさせるようなやり方になってきていると聞いた。底辺にいる兵士の成長を促している。
無能な人の特徴と傲慢な人の特徴
そもそも、いろいろなブログが、無能な働き者の特徴として何個もあげているのは、だいたいが無能の人の特徴でなく、傲慢な人の特徴だと思う。両者をごっちゃにするべきでないと思う。
傲慢な人が無能になりやすいというだけで、無能それ自体は悪くない。誰でもはじめてやることには無能。
それより諸悪の根源は傲慢さ。傲慢な人がやりそうなのが、多くのブログで箇条書きで言われているような、上に挙げた項目の所業だろう。
失敗した後に、言い訳したり、人のせいにしたり、非を認めなかったり、次にも同じことを繰り返すような事をするのだろう。
傲慢でさえなければ、謙虚であれば、無能な働き者も、失敗した時なぜダメだったのか反省して考える。
そして、どんどん有能になるかはわからないが、有害とは言えない人材になっていくだろう。
この記事は、4月にアクセスが伸びる傾向にある。おそらく出会いの季節で、新しい環境になって間もない時期に、無能な働き者について不愉快に思う人が増えるのだと思われる。
そういう人は、働き者という所は、評価するべきだし、長期的に見ていってもらいたい。
いつまでたっても無能にとどまる場合、反省をしない何も考えない傲慢な人だということなのだろう。
自分の意見では、現代のような恵まれたボトムアップの時代では、寛容に見守り試行錯誤させてやるべきだと思う。
そこでは、人並みに謙虚なら、働き者でやる気がある人は、無能にとどまるはずはなく、求められる人材になると思う。
コメント
ずっと疑問に思ってたのですが、怠け者は回りを巻き込んで怠けを撒き散らすんですよ。全体の空気を乱す意味では怠け者は害だし、みんなで動くことが求められる日本では当て嵌まりません
コメントありがとうございます。
この記事には、同意できない人たちも多くいるようで、そういう人たちの意見は是非聞きたいと思っています。
実情をそれ程よくわかって書いたわけではないので、自分の考えをただしてくれるようなコメントは歓迎します。
それで、「怠け者は害」だという事をおっしゃっていますが、自分もそのような害をまき散らす怠け者がいたら、良く思わないでしょう。
なので、誤読をされているようですが、自分の記事で弁護しているのは「無能な働き者」です。「働き者」を弁護しています。決して「怠け者」は弁護していません。
「怠け者」より「働き者」の方がいいじゃないかという内容になっています。文面からは、意見は一致しているように思われます。
この記事は、ブログを始めて2つ目の記事でまだまだ読みにくいし、わかりにくい所もあったかもしれません。
ですが、是非もう一度よく読み直してもらえたら嬉しいです。
この記事は入社して間もない、経験の浅い「無能な働き者」に関して書かれているように感じました。
そこでお尋ねしたいのですが、ベテランと言えるくらいには長く務め、役職にもついている「無能な働き者」に関してはどのようにお考えでしょうか。
役職がついているのなら無能ではないのではないか、と思われるかもしれませんが、実際にその人の影響で部門が一つ崩壊しかけています。
自分の周囲にそのような人がいるので、気になりました。
コメント有難うございます。
確かに「役職についているベテランの無能な働き者」は弁護したくはなく、記事で書いてある事は適用できないかもしれません。
勤続年数が増えているのに「無能な働き者」で居続けることは、その人が反省のない傲慢な人間である事の証明であるかもしれません。その辺りについては、記事の最後の方でも書いたかと思います。
ですので、そういうタイプの「無能な働き者」は傲慢であるし、害悪であると認めてもいいです。
ただ、Google検索をして「無能な働き者」の記事をいくつか見てみると「役職についているベテランの無能な働き者」について書いてあるものは、おそらくないように思います。
ほとんどが「現場にいる底辺の無能な働き者」について書いてあるように自分には思われました。自分の記事は、これらの記事に対する反対意見として書いたので、撤回せずに残しておきます。
以上です。mさんのコメントで「無能な働き者」について、よりよく知ることができました。有難うございました。