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台本
はじめに
皆さん、こんにちは。今回は、ラツーダについて当チャンネルの視点から詳しく見ていきたいと思います。ラツーダについて、以下のような観点から見ていきたいと思います。
眠気と不眠（鎮静と賦活）、陽性症状、陰性症状（うつ症状）、錐体外路症状（アカシジア）、体重増加、抗コリン作用（便秘、口渇、認知）、性機能障害。
基本情報
まず、ラツーダの基本情報について、1点だけ述べておきます。ラツーダは、非定型抗精神病薬です。その中でSDA（セロトニン・ドーパミン遮断薬）と言う種類の薬です。
| 非定型抗精神病薬 | 定型抗精神病薬 | ||
| MARTA | DSS | SDA | DA |
| 多元受容体作用 抗精神病薬 | ドーパミン 部分作動薬 | セロトニン・ ドーパミン遮断薬 | ドーパミン遮断薬 |
| オランザピン | エビリファイ | リスパダール | ハロペリドール |
| シクレスト | レキサルティ | インヴェガ | クロルプロマジン |
| セロクエル | ロナセン | ドグマチール | |
| クロザピン | ルーラン | ヒルナミン | |
| ラツーダ | フルメジン など |
SDA（セロトニン・ドーパミン遮断薬）は、従来の定型抗精神病薬（ドーパミン遮断薬）にセロトニンに対する作用が加わったような薬です。それによって、ドーパミン遮断作用に由来する副作用が軽減されています。
SDA（セロトニン・ドーパミン遮断薬）は、定型抗精神病薬（ドーパミン遮断薬）よりも錐体外路症状や高プロラクチン血症などの副作用が軽減されています。
また、SDAのセロトニンへの作用は、賦活作用（元気にさせる作用）を高めています。
| 非定型抗精神病薬 | 定型抗精神病薬 | ||
| MARTA | DSS | SDA | DA |
| 多元受容体作用 抗精神病薬 | ドーパミン 部分作動薬 | セロトニン・ ドーパミン遮断薬 | ドーパミン遮断薬 |
| オランザピン | エビリファイ | リスパダール | ハロペリドール |
| シクレスト | レキサルティ | インヴェガ | クロルプロマジン |
| セロクエル | ロナセン | ドグマチール | |
| クロザピン | ルーラン | ヒルナミン | |
| ラツーダ | フルメジン など |
非定型抗精神病薬には他に、MARTA（多元受容体作用抗精神病薬）や、DSS（ドーパミン部分作動薬）があります。
それらの非定型抗精神病薬もSDAと同様に、錐体外路症状の軽減や、賦活作用が期待できます。
ラツーダは、SDA（セロトニン・ドーパミン遮断薬）です。従来の定型抗精神病薬より錐体外路症状などの副作用が少なく、賦活作用（元気にさせる作用）が強いです。
ラツーダの特徴
早めに結論を言っておきますが、ラツーダは、効果も副作用も少ない薬だと思います。今まで紹介した発売済みの薬の中ではレキサルティに近い感じがします。陽性症状への効果は、レキサルティより弱めかもしれません。
ラツーダは、オランザピンやロナセンやリスパダールのような、強い効果や副作用はありません。
また、統合失調症よりうつ症状に対して使われた方が良いと言っている人もいます。ラツーダは、双極症のうつ状態に対する適応もあります。
ラツーダは、効果も副作用も少ない薬です。統合失調症よりうつ症状に使われた時に効果があるかもしれません。
眠気と不眠（鎮静と賦活）
ラツーダは、一般的に眠気が少ない薬だと言われています。実際にラツーダを使った人は、不眠と眠気について、次のように言っています。
- よく眠れない。40mg。
- 60mg飲んでるけど、同じく不眠がひどい。
- ラツーダ2ヵ月で断念した、鎮静効果が足りない。
- ラツーダ飲んでると中途覚醒しまくって、夜まともに眠れないから朝飲んでる。
- 自分はラツーダ飲むと2時間後に眠気が来るんだけど、その眠気を利用して就寝してる。
- ラツーダ飲みだして一か月たったがずっと過眠気味。
- 飲んで2時間後くらいに現れる眠気はいつになったら無くなるんだー
不眠が出る人と、眠気が出る人、両方いるようです。
治験での賦活系の副作用と鎮静系の副作用の発生率はこの表のようになっています。
| 賦活系の副作用 | 発生率 | 鎮静系の副作用 | 発生率 |
| 不眠 | 3.3％ | 眠気 | 3.2％ |
| 不安 | 2.5％ | ||
| 激越 | 0.6％ | ||
| 易刺激性 | 0.4％ | ||
| 早朝覚醒型不眠症 | 0.3％ |
不眠も眠気も少なめです。オランザピン、リスパダール、ロナセンのように両方多いという事はありません。レキサルティの場合、不眠も眠気も両方少なかったですが、それに似ています。
ラツーダは、眠気も不眠も比較的少ないです。
陽性症状
ラツーダは、ドーパミン遮断作用が結構強いので、陽性症状への効果はありそうなのですが、実際には、あまり期待できません。
基本的に、重度の統合失調症患者を治療するのは難しいと言われています。使うとしたら安定維持期だと思います。
実際にラツーダを使った人は、陽性症状への効果について、次のように言っています。
- 統合失調症でラツーダ飲んでたが、陽性症状（被害妄想）に全然効かなかった
- ラツーダは統合失調症の薬としては役立たず、双極のうつ状態に対する薬だと思った方が良い。
- ラツーダは統失の陽性症状には効かない。
- 個人差あるかもしれないけど、飲み始めてから幻聴減ってきたわ
中には陽性症状に効いた人もいるようですが、効果がない事が多いと思います。
ラツーダは、陽性症状への効果は弱いと思います。軽症であれば効く人もいるかもしれません。重症の場合は効きにくいです。
陰性症状
ラツーダは、陰性症状やうつへの効果は、ある程度期待できるかもしれません。双極症のうつ状態に対する適応もあります。
ラツーダに特徴的な点として、セロトニン７受容体に作用するという事があります。抗うつ薬のトリンテリックスという薬も、セロトニン７受容体に作用します。この作用は、抗うつ効果を発現させるための柱になっています。
ラツーダは、トリンテリックスと似たような抗うつ効果が部分的には期待できるはずです。
実際にラツーダを使った人は、陰性症状への効果について次のように言っています。
- 多少は、やる気出るよ。
- 20mgから40mgに変えたんだけど、パワーぐわっと上がった感じする。
- この前うっかり飲み忘れたらうつがちょっと重くなったからちょっと効いてるんだなーってなった
- 統失で上限の80ミリ飲んでるけど、なんとなく前向きな性格になってる気がする。
- 飲み始めて日に日に気分が落ち込んできた。自分にはラツーダは合わなかった。
- 統失の陰性だけどこれ全く効かない。
陰性症状やうつ症状に効いたと言う人、効かなかったという人、両方いました。
ラツーダは、陰性症状やうつ症状への効果はあるようですが、効く人、効かない人、両方いるようです。
錐体外路症状
ラツーダは、ドーパミン遮断作用が結構強いので、錐体外路症状は多そうですが、実際にはそれ程多くないです。
先程言ったように、ラツーダは、SDA（セロトニン・ドーパミン遮断薬）なので、セロトニンに対する作用も強いです。それによって錐体外路症状はかなり軽減されています。
治験での錐体外路症状の発生率は、この表のようになっています。
| アカシジア | 7.1％ | ジスキネジア | 0.7％ |
| 振戦（振え） | 2.0％ | 眼球回転発作 | 0.4％ |
| ジストニア | 1.6％ | 流涎過多 | 0.4％ |
| 筋固縮 | 1.3％ | 筋骨格硬直 | 0.3％ |
| パーキンソニズム | 1.2％ | 筋緊張 | 0.3％ |
| 運動緩慢 | 0.9％ | 構音障害 | 0.3％ |
アカシジアが7.1％で、振戦（振え）が2.0％などとなっています。全体的に少ないです。レキサルティと同じ位少ないです。
リスパダール、ロナセン、オランザピンの場合、アカシジアや振戦が10～20％位出ているので、ラツーダは、錐体外路症状が少ない方です。
とは言え、実際にラツーダを使った人は、錐体外路症状やアカシジアについて次のように言っています。
- 10mgしか飲んでないけど寝る時に足がムズムズして不快。
- 20mg飲み始めて一週間でアカシジアが出始めました。
- アカシジア酷すぎ、なんだこの薬は
- 手の振えある人いる？すんごいんだが
- 遅発性ジスキネジアがきつい
- この薬飲み始めてから1週間目で口の中をモゴモゴするようになってる
ラツーダは、錐体外路症状やアカシジアが統計的には少ないです。ですが、もちろん中には出る人もいます。
体重増加
ラツーダは、体重増加が少ないです。エビリファイやレキサルティより少ないです。以前、ロナセンが最も体重増加が少ないと言いましたが、ラツーダもロナセンと同じ位、体重増加が少ないです。
実際にラツーダを使った人は、体重増加について次のように言っています。
- オランザピンとクエチアピンは飲んでるだけで普通の食事してて太るけど、ラツーダは太らない。
- ラツーダ飲むと食欲減退してドカ食いしなくなって体の面でも金銭面でも助かってる。
- ４か月前から飲み始めてジリジリ体重が増えてる。
もちろん、体重増加する人も中にはいますが、少ないと思います。
治験において、体重や食欲に関する副作用の発生率はこの表のようになっています。体重増加が0.9％で、食欲亢進が0.6％で少ないです。
| 体重増加 | 0.9％ | 体重減少 | 0.9％ |
| 食欲亢進 | 0.6％ | 食欲減退 | 1.0％ |
ラツーダは、ロナセンと並んで、現在最も体重増加が起こりにくい非定型抗精神病薬だと言われています。
性機能障害
ラツーダは、性機能障害は少ない方だと思います。治験での生殖系副作用の発生率は、この表のようになっています。
| 血中プロラクチン増加 | 1.4％ |
| 高プロラクチン血症 | 0.4％ |
| 性欲減退 | 0.3％ |
| 乳汁漏出症 | 0.1％ |
| 不規則月経 | 0.1％ |
全体的に生殖系の副作用は少ないと思います。データ的には、レキサルティより若干多い位です。けれど、リスパダールよりはもちろん、オランザピンやロナセンよりもだいぶ少ないです。
実際にラツーダを使った人は、性機能障害について次のように言っています。
- 飲み始めて1ヶ月。射精障害あり。
- これのみはじめてから性欲がマジで消えた。
- EDになる薬。
- プロラクチンがガン上がりしたから減らされた・・・
- ラツーダって性機能障害起こす人多いんだね。俺は逆に回復する。
性機能障害に関するネガティブな書き込みは多いように感じました。先程の発生率のデータは、数週間程度の短期のものなので、長期的にはもっと多いのかもしれません。
ラツーダの性機能障害は、長期的にはいくらかあるのかもしれません。ですが、おそらく少ない方だと思います。
抗コリン性副作用
ラツーダは、アセチルコリン受容体に対する遮断作用はほぼないので、抗コリン性の副作用はないはずです。
けれど、アセチルコリン受容体の遮断が原因ではないと思いますが、一般的に抗コリン性の副作用だとされる副作用は発生しています。この表のようになっています。
| 便秘 | 2.5％ |
| 口内乾燥 | 0.4％ |
| 口喝 | 0.4％ |
| 排尿困難 | 0.3％ |
便秘が2.5％などとなっていて少ないです。レキサルティの便秘は1.8％だったのでそれよりは多いです。けれど、ロナセン、リスパダール、オランザピンは、7～10％位出ています。
ですので、ラツーダの便秘2.5％は少ない方です。口渇や排尿困難などの他の副作用も少ないです。
ラツーダの便秘、口渇などの副作用は少ない方です。レキサルティより少し多い位です。
全体のまとめ
ラツーダについてまとめると、次のようになります。
- 陽性症状への効果は弱い。
- 陰性症状への効果はある人もいる。
- 眠気と不眠は両方少ない。
- 錐体外路症状は少ない。
- 体重増加が最も少ない非定型薬の１つ。
- 性機能障害は比較的少ない。
- 便秘や口渇は比較的少ない。
繰り返しますが、こうして見てみると、ラツーダは、効果も副作用も少ない薬だと思います。陽性症状への効果は、レキサルティより弱いかもしれません。統合失調症よりうつ症状に使われた方が良い薬かもしれません。